
「響け! ユーフォニアム2」の第3話。オープニングアニメーションで4人でおどけるホルン隊にはいつも和む。今回も密度が濃いというか、粒が細かいというか、かなり多くの将来の伏線になるようなうプロットが散りばめられていた。これはこのアニメが1話完結構成ではなく、複数話でシナリオを展開できる劇場版のような構成になっているからである。今回の伏線を、1話先、2話先で回収してもいいのでかなりの量の伏線を設定できる。合宿所の風呂場の更衣室での「高坂 麗奈」のサービスカットもあり。さすがシリーズ構成の「花田十輝」先生分かっていると言うところか。練習の中で、ヒロインの久美子が滝先生から「関西大会ではユーフォのパートをあすか先輩と二人で吹いて」と言われて、「緑輝」、「後藤」先輩、「梨子」先輩、「夏紀」先輩、「葉月」、「あすか」先輩、「麗奈」が久美子を良かったねという表情で見つめる。
今回の話は、滝先生の友人の臨時コーチ「橋本 真博」(CV中村悠一)のオーボエの「鎧塚 みぞれ」(CV種﨑敦美)に対しての「音も綺麗だしピッチも安定しているが、ぶっちゃけつまらん。ロボットが吹いているみたい」と言う場の空気を読まない系の投げかけに対して、滝先生と、同じく木管で美人の「新山 聡美」(CV桑島法子)臨時コーチは顔を見合わせていたので、この「鎧塚 みぞれ」のオーボエの件はこの二人も当然気がついていたがセンシティブな問題なので言い出しかねていたと言うことであろう。吹奏楽部への復帰を希望する「傘木 希美」(CV東山奈央)の件で、各登場人物が動く。
主人公の久美子は「傘木 希美」先輩への約束どおり、あすか先輩にどうして希美先輩を復帰させないかを聞き出す。その理由を知っているのがあすか先輩以外にもう一人いる。二年生の「デカリボン」こと「吉川 優子」先輩。あすか先輩が割と冷徹にコンクールのことを考えているのに対して、優子先輩は、同じ中学出身の「鎧塚 みぞれ」のことも「傘木 希美」のことも知っているし、希美の復帰の為になんとかしようとしている「中川 夏紀」の性格のこともよく知っている。結局優子先輩が、一番多くの状況を知っているので誰も傷つけないようにしようと一人奮闘している。「響けユーフォニアム」の第1期ではただ一人のヒール役だった「デカリボン」先輩が「実は」「非常に」「かなり」いい人だったのだ。ということがだんだんと分かってくる。原作を先に読んでいる人からは「2期ではデカリボン先輩の株が上がるぞ」と言う情報が漏れ伝わってきたが、まさにその展開が進んでいる。優子先輩の中の人「山岡ゆり」はブラスバンド部で中高6年間トランペット経験しているので、吹奏楽部の状況も一番よく分かっているし、ヒール役の1期のときも「私の声優人生ここで決まると思って頑張った」って言っているので、今期の役はやっていてやりがいがあるんだろうと思う。
あすか先輩と久美子が食堂で話すシーンで、プラスチックのお茶の湯飲みの中に久美子の顔がぽつんと映っていたり、合宿所の久美子と麗奈の部屋で、久美子と麗奈のものと思われる私物のリュックが二つ並んで映っている。こういった隠喩・暗喩的な表現はシリーズ演出の「山田尚子」さんによるものだと思うが、映画らしい演出手法で、作品に奥深さを与えている。次回の鎧塚先輩の周辺の動きが楽しみである。
出典:http://anime-eupho.com/story/03/
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会