
「響け! ユーフォニアム2」の第7話。今回も良い話だった。第5話のフォーマルなコンクールでの胸のすくような神回と比べると、今回はサブタイの「えきびるコンサート」にあるようにカジュアルな野外でのコンサートを舞台にした、3年生部員の揺れる気持ちと支え合う絆がジンとくる神回だった。
Aパート冒頭では、またしても「巻き込まれ系ヒロイン」の久美子が職員室でトラブルに遭遇する。「あすか先輩」のちょっとヤンデレ気味の母親が職員室に現れて娘の退部届けを受け取れと顧問の滝先生に迫るが、滝先生は頑として受け取らない。この母親の声は「渡辺久美子」という「WORKING!!」でワグナリアの元ヤンキー店長「白藤杏子」をやっていた人だ。娘のあすかを女手一つで育てて離婚後の人生の全てを娘の為にかけてきてような様子で、逆に今では高校3年になった娘に過度に依存しているようにも見える。今回の話の中心はこの流れから副部長の「田中 あすか」(CV寿美菜子)なのかと思いきや、今回の主役は部長の「小笠原 晴香」(CV早見沙織)だったと思う。声優「はやみん」の演技が心に染みる回だった。この「響け!ユーフォニアム2」のメインキャストは、1年生部員の「久美子」「葉月」「緑輝」「麗奈」の4人なのだが、3年生の「晴香部長」「あすか副部長」「パートリーダー香織先輩」(CV茅原実里)この安定感抜群の3人の脇を固める人気声優の演技が素晴らしい。部長の春香は自分はあすかには色々な面で劣っているので、部長の器ではない、あすかこそ部長をやるべきではないかと常に思っている。しかし副部長のあすかや、香織からの信頼は厚い。春香部長のキャラも可愛いが、この吹奏楽部員全員が可愛いので、その美人バイアスを取り除いてみると、美人で何でもそつなくこなす副部長「あすか」、美人で部のマドンナ「香織」と比べると春香部長は、容姿も普通で、能力も普通、特に秀でたリーダーシップもない普通の3年生がリーダーを任されたという苦悩が伺える。その部長が今回はバリトンサックスのソロを担当する。そのくだりが泣ける。バリトンサックスは春香一人しかいないのでソロをやるとなれば当然春香部長がやるしかない。演奏する曲は「宝島」という軽快なポップスの曲で、吹奏楽では定番の曲らしい。最初のアルトサックスのソロは「岡本来夢」という3年生部員が吹く。この部員はオープニングの映像にも写っている「高橋留美子」さんのキャラに似たオシャレ系女子。1期の始めで鬼軍曹の松本先生に服装がたるんでいると言われてスカート丈を直した生徒でもある。そして駅ビルコンサートのハイライトは春香部長のバリトンサックスのソロ。低いバリトンサックスの音が刻むリズムがかっこいい。特に秀でたものがなく、この先の人生はもしかすると平凡な人生かもしれない春香部長が一瞬輝いたシーンである。「はやみん」のいい演技だった。
久美子と同じ中学出身で今はライバル校で吹奏楽コンクールでは全国に進めなかった「立華高校」の「佐々木梓」(中の人も田所あずさと同じ名前)とのシーンも良かった。梓は北宇治の演奏を見ていたあの時「もし久美子と一緒に北宇治高校に進学していたら自分もあの中にいたのかな」と思っていたのだろうか。
Bパートラストでは主人公の久美子の家でも、姉の「麻美子」(CV沼倉愛美)がとうとう家を出ていったような描写が。久美子の家のトラブルもどうなってしまうのか。次回が楽しみである。
出典:http://anime-eupho.com/story/07/
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会