
「響け! ユーフォニアム2」の第9話。今回はサブタイが「ひびけ!ユーフォニアム」つまり「サブタイトル」=「作品タイトル」という、第1期、第2期を通しての初めての作品タイトル回収回であった。自ずと作品の根幹に関わる重要な回ということになる。今回は先週からの予想通り、副部長の「田中 あすか」先輩(CV寿美菜子)の今までの行動の原因が明らかになる「あすか回」であった。何故あすか先輩がユーフォニアムのことを話し出すと止まらなくなったのか、何故あすか先輩は他の吹奏楽部の部員の思いには冷徹で自分だけが演奏できればいいという態度をとってきたのか、何故あすか先輩はユーフォニアムの演奏が上手いのか、何故あすか先輩は勉強ができるのか。今までの諸々の伏線が一気に回収できた回でもある。
今回、夏紀先輩、麗奈など人物の上半身を写さずに太ももから下のカットが多用されている。サービスカットというわけでないようだ。これが何を暗示しているのか。3年生トリオの中で、晴香部長はでてこず、今回出てきたのは「中世古 香織」先輩(CV茅原実里)だけだった。あすか先輩と香織先輩は共に長身の美人で、水着回の時は色違いの同じ水着を着ていた仲である。香織先輩が、あすか先輩の靴紐直してやるシーンは二人の関係の何を表しているのだろうか。
Bパートで久美子が呼ばれて訪問した、あすか先輩の自宅だが、前回までの話の流れで母子家庭でお母さんが苦労して育てたということで、てっきり母子で小さなアパートに住んでいるのかと思いきや、実際は旧家の大きなお屋敷であった。となると同じ母子家庭でも話が違ってくる。生活費等の金銭面では困っていなかったということになる。あすか先輩が2歳の頃に有名なユーフォニアム奏者の父親が家を出て行ったということだが、原因はこの母親にあるようである。あすか先輩は、実の母親のことを「あの人」と呼び、離婚した実の父親のことを「進藤さん」と呼ぶ。
久美子は、揉め事に巻き込まれる「巻き込まれ系ヒロイン」であり、思っていることが口から漏れてしまう「失言系ヒロイン」である。あすか先輩は久美子のことを「ユーフォっぽい」と言い、自分自身は「ユーフォっぽくない」という。これはユーフォのように顔が丸いということではなさそうだ、前半で麗奈と久美子の会話にあったように、久美子は普通のふりしてどこか見透かされているようで、気づいてなさそうで気づいている。一番痛いときに、ぽろっと本質を突く言葉をいう。そこがこの久美子が「ユーフォっぽい」という意味なのだろうか。「素直」「素」という意味なのか。そのことが、この作品でどうして久美子がヒロインなのかという意味にも思える。
今回は後半、副部長のあすか先輩と久美子のやりとりの二人芝居が中心であったが、前半はポニテ先輩と久美子、香織先輩と久美子のやりとりで、つまり主人公の久美子は出ずっぱりだった。そして何が言いたいかというと、ヒロイン役の「黒沢ともよ」は声優としてうまい演技をするということ。いい芝居をしている。まだ若いのになるほど座長を務めるだけのことはある。
次回が楽しみである。
出典:http://anime-eupho.com/story/09/
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会